いろいろある雇用形態のうちから、あえて契約社員を選ぶ人も多いかと思います。
しかし、安易な気持ちで契約社員に転職すると抜け出せなくなり、残りの人生をずっと苦労し続けることにもなりかねない程のリスクがあります。
もしあなたがすでに契約社員として働いている、もしくは契約社員への転職を検討しているならば、どのようなリスクがあるのかを知っておきましょう。
この記事では、以下のことについて解説していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
- 契約社員を選んでしまう理由
- 契約社員を続けてしまう理由
- 契約社員を続けるリスク
そもそも、契約社員についてよくわからないという方は、以下の記事でも解説しています。
契約社員を選んでしまう理由
なぜ契約社員への道を選んでしまうのでしょうか?理由をご紹介します。
- 大手企業で働きたい
- 正社員をあきらめ契約社員で妥協してしまう
- 正社員になるのがいやで契約社員を選ぶ
大手企業で働きたい
大手企業の中には、コストダウンや繁忙期の人手不足を補うため、積極的に契約社員を募集しているところもあります。
もし仕事を探している時に、大手企業が募集を出していたならば、一度は働いてみたいと思うことでしょう。
大手企業にありがちな募集要項を例にあげてみますと、
- 他の企業に比べ、賃金がずば抜けて高い
- 食事補助・皆勤手当・交通費支給など手当が充実
- 正社員になれるかもしれないという期待を持たせる
このように魅力的な内容に目をうばわれ、契約社員でもかまわずに応募してしまいます。
自分の将来のことよりも、大手企業で働きたいという理由を優先し、契約社員の道を選んでしまうのです。
正社員をあきらめ契約社員で妥協してしまう
正社員をあきらめ、契約社員の道を選ぶ人もいます。
正社員よりも契約社員の方が、採用されやすいからです。
正社員を目指して転職活動していたものの、スキルが不足している、年齢が高い、希望に合う求人がないなどの理由で、なかなかうまくいかない場合もあるでしょう。
転職活動が長引くにつれ、経済的・精神的な苦しさから、あきらめて契約社員で妥協してしまう場合もあるのです。
正社員になるのがいやで契約社員を選ぶ
正社員ではなく、あえて契約社員を選ぶ場合があります。
契約社員は仕事内容が事前にわかっているので、負担の軽い仕事を選ぶこともできます。
責任の重い仕事や、残業の多いハードな仕事はやりたくない、気楽な仕事がしたいと考える人が、負担の軽い契約社員の仕事を選びます。
仕事で苦労したくないという理由で正社員になるのをさけ、自ら進んで契約社員になる人もいるのです。
契約社員を続けてしまう理由
なかなか契約社員をやめられず、続けてしまう理由をご紹介します。
- 新しい仕事をする意欲がなくなる
- 契約社員でも生活できる
- 働きやすい職場で居心地が良い
新しい仕事をする意欲がなくなる
契約社員の仕事は、すぐに覚えられる簡単なものが多いです。
短期間の雇用のため、誰でもできる仕事を任せられるからです。
ただ、簡単な作業が多いからといって、楽な現場とは限りません。鉄でできた重いものを運搬したり、防護メガネやマスクをつけなくてはならない危険な作業もあります。
しかし、中には退屈で仕方がないほど楽な現場もあります。
私が経験した、特に楽だった仕事を例をあげてみますと、
- 機械がお菓子の袋をダンボールに詰めるので、機械にダンボールを補充する(お菓子工場)
- 印刷用紙が流れてくるのでビニール袋に入れ、ダンボールに詰める(製紙工場)
このような簡単な作業をずっとくり返し、ひとたび楽な仕事になれてしまうと、責任の大きい仕事や重労働が面倒になってしまうのです。
その結果、転職して新しい仕事をする意欲がなくなり、契約社員を続けてしまうのです。
契約社員でも生活できる
契約社員でも、若いうちならば生活していけます。
もしあなたが20代くらいなら、両親がまだ働いている場合も多く、援助が受けられるからです。
例えば、手取りとして毎月15〜20万ほどもらえるとしますと、実家ぐらしならば家賃も不要ですし、高価な車を買ったり、毎日外食するなどぜいたくをしなければ、生活していけます。
しかし、両親が定年退職して年金暮らしとなり、両親からの援助が難しくなると、契約社員のままでは生活がかなり苦しくなります。
契約社員は昇給することはほぼありませんので、わずか月15〜20万の給料で、家賃・光熱費・食費・税金・両親の介護費用などを全て負担しなくてはなりません。
両親が健在で生活費を負担してもらえるならば、お金にせっぱつまることも少ないでしょう。その結果、将来のへの危機感がうすれ、このまま契約社員で大丈夫だとかんちがいしてしまうのです。
働きやすい職場で居心地が良い
働きやすい職場にいると、なかなか転職に踏み切ることができなくなります。
転職先の労働環境が良いとは限らないからです。
休みが取りやすい職場だったり、親しい人ができて人間関係が良かったりすると居心地が良くなり、ここでずっと働きたいという気持ちになってしまいます。
もし転職先がひどい会社で、今の仕事を辞めたことを後悔するかもしれないと考えると、別の会社に移るのが怖くなってしまうのです。
契約社員を続けるリスク
契約社員を続けると、どのようなリスクがあるのかご紹介します。
- 長年働いてもスキルは身につかない
- 歳をとり転職が難しくなる
- ライフイベントに支障が出る
長年働いてもスキルは身につかない
長年契約社員として働いても、スキルは身につきません。
契約社員のできる仕事内容は限られているからです。
契約社員は、単純作業のような簡単な仕事をすることが多く、仕事内容も毎日同じです。
スキルを身につけようにも、正社員のように研修制度はありませんし、生産の管理や設備の修理などの重要な仕事には手を出すことはできません。
いろいろな仕事を任され、スキルを身につけていく正社員を横目に、契約社員は毎日同じ作業を繰り返すことになるのです。
歳をとり転職が難しくなる
契約社員のまま歳をとると、転職が難しくなります。
年齢が高くなるほど、スキルを持っている人材が求められるからです。
正社員は、生産や人員の管理、トラブルの対応、取引先との打ち合わせなど、いろいろな仕事をこなしスキルを積み重ねていきます。
一方、何年働いても同じ作業ばかりの契約社員は、何も得るものはありません。ただ歳をとるだけです。転職にどちらが有利かは明らかですね。
30代からの転職は、どんなスキルを持っていて、何ができるかが重要となってきます。何もできないまま歳を取ってしまうと、転職するのが難しくなってしまうのです。
ライフイベントに支障が出る
ライフイベントとは、人生で起こるいろいろな出来事のことです。契約社員を続けることで、ライフイベントに支障をきたします。
契約社員は雇用が不安定で、収入も低いからです。
例えば、次のようなライフイベントを考えてみます。
結婚 | 職業や収入がネックとなり、結婚相手として敬遠されてしまう。 |
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出産 | 養育に必要な収入がないため、子供をあきらめる。 |
子供の教育 | 塾や予備校に入れない、大学進学を断念する。奨学金を借りた場合、返済が負担となる。 |
住宅購入 | 住宅ローンの審査が厳しい、ローンが払えなくなる可能性もある。 |
両親の介護 | 充分な介護サービスは受けられないため、在宅介護をせざるを得なくなり、介護離職の原因にもなる。 |
契約社員を長年続けることで、いずれは経済的な問題でいろいろ支障が出てきます。
具体的にどれくらいの金額が必要かは、「主なライフイベントにかかる費用の目安(日本FP協会)」が参考になります。契約社員の賃金だけではとてもまかなえる額ではありません。
20代ですと、まだ結婚をして家庭を持つことや、今は元気な両親の介護が必要になることなど、なかなか想像できないでしょう。
契約社員のまま働き続け、危機感を持たぬまま歳をとり、問題に直面するようになってからあわてて正社員に転職を考えても、もうすでに手遅れになっているのです。
40代の今、後悔の日々
20代の頃、特にやりたいこともなく、大手企業の契約社員として働いていました。
仕事自体は単純作業で退屈でしたが、職場の環境は良く、ずるずると契約社員を続けてしまいました。このままではまずいと30代になる頃、転職活動を始めました。
ちょうど不景気で雇用が厳しい中、1年以上も転職活動を続けましたが、単純作業しかできず、何のスキルもない私を正社員として雇ってくれる企業はありませんでした。
その後は、契約社員や派遣社員などで働き、何とか生活してきましたが、人員削減や不景気のため、何度も職を失いました。
20代を契約社員として働き、無駄に過ごしてしまったことを40代の今でも後悔しています。
抜け出せなくなる前に転職をしましょう
もしあなたが今、理由もなく契約社員として働いているならば、10年後や20年後の生活を想像してみてください。
- 友達はみな結婚して子供もいるのに、自分だけ独身。
- 家賃が払えないため実家暮らしで、年老いた両親を介護し、気晴らしに趣味を楽しむお金もない。
- 貯金もできず、自分の老後の生活資金もない。
このまま契約社員を続けて、将来はこのような人生を送りたいですか?
契約社員は50代でもなれますので、抜け出せなくなる前に転職活動を始めましょう。歳をとればとるほど、正社員転職の難易度は高くなります。
まだ20代ならば、選択肢も多く未経験の仕事にも挑戦できますので、良い企業にめぐり合える確率は高まります。
まずは転職サイトに登録して、どんな求人があるか調べてみましょう。タイミング良く、あなたのやりたかった仕事が見つかるかもしれませんよ。